その日は朝からどしゃ降りの雨。
外遊びが大好きな三兄弟は、家の中でエネルギーを持て余して退屈モード全開でした。
そこで私が「よし、みんなでクッキー作ろうか!」と提案すると、「やるーーーっ!」と一瞬で大盛り上がり。さっそく、我が家のクッキー作り大作戦がスタートしました。
前回の記事「AI時代の子育て|これからの未来を生きる子どもに親が育てたい5つの力」では、好奇心・探究心・想像力・判断力・共感力の5つの力と、その根っこにあるレジリエンス(立ち上がる力)についてお話ししました。今回は、そんな力が実際の暮らしのなかでどう育っていくのか、我が家のクッキー作りを例に紹介します。
クッキー作り大作戦の流れ
① レシピを見て買い物リストを作る
まずは、本やネットのレシピを見ながら、何が必要かをみんなで確認します。「小麦粉、バター、お砂糖……あ、卵がない!」と、自分たちで必要なものをチェックして、メモ用紙に「かいものリスト」を書いていきます。
② お店へ行って自分たちで材料を探す
傘をさして、近所のスーパーへ出発。お店に着いたら、子どもたちにリストのメモを手渡します。「小麦粉はどこかな?」「バターはっけん!」と、まるで宝探しのように楽しそうに売り場を探し回る子どもたち。ただの買い出しが、一瞬で大冒険に早変わりです。
③ 三兄弟で役割分担してクッキー作り
キッチンに戻ったら、いよいよエプロンをつけて本番です。我が家の担当はこんな感じでした。
- 長男:材料の計量
- 次男:生地のまぜまぜ
- 型抜き:三人みんなで
クッキー作りで育つ5つの力
ただ「楽しくおやつを作った」だけで終わらない、クッキー作りに隠れている学びを、前回の記事の5つの力に沿って紹介します。
1. 好奇心|バターの変化に「なんで?」
冷蔵庫から出したばかりのカチカチのバターが、まぜているうちにだんだん柔らかく、なめらかなクリーム状に変わっていく。まぜまぜ担当の次男にとっては、この素材の変化そのものが発見です。
「なんで柔らかくなったんだろう?」という疑問が浮かんだら、すぐに答えを教えなくても大丈夫。「なんでだろうね?」と一緒に不思議がるだけで、日常の中で自然と科学の入り口に触れることができます。
2. 探究心|計量で「ぴったり」を目指す
計量担当は長男。キッチンスケールの数字を見ながら、少し足したり、行き過ぎたら戻したりして、レシピの分量にぴったり合わせていきます。
数字がぴったりになるまで自分で調整する経験は、ドリルとはまた違った形で、体を使って「重さ」や「数字の増減」を感じられる時間です。「もっと正確に!」と突き詰める姿は、まさに探究心そのものだなと感じます。
3. 想像力|完成を思い描いて準備する
最初の買い物リスト作りも、実は想像力を使う作業です。レシピを見ながら「クッキーを作るには何が必要かな?」「家にあるもの、ないものは?」と、まだ目の前にない完成形を頭の中で思い描いて、必要なものを考える。
「あ、卵がない!」と気づけたのも、作る流れを想像できたからこそですね。
4. 判断力|生地の状態を見て、どうするか考える
みんなで型抜きをしていると、三男の型抜きがなかなかうまくいきませんでした。生地が柔らかくて、型からきれいに抜けなかったんです。
そこで私が「どうしたらうまくいくと思う?」と聞いてみると、次男が「冷やしてみる!」と答えてくれました。
レシピ通りにいかないとき、今の生地の状態を見て「どうすればいいか」を自分の頭で考える。答えを大人が先に言わずに、子どもに聞いてみるだけで、判断力を使うチャンスが生まれます。
5. 共感力|「おいしい!」で誰かを喜ばせる
焼き上がったクッキーは、形はいびつでも、自分たちで買い物をして、計って、まぜて、型を抜いた特別なクッキーです。
パパに「おいしい!」と褒めてもらえた瞬間、子どもたちはとっても誇らしげでした。誰かに喜んでもらえた嬉しさは、「人を喜ばせたい」「相手はどう感じるかな」と思う共感力の芽になっていくと感じています。
それに、三男が困っていたときに、次男がアイデアを出して助けてくれたことも。兄弟で力を合わせる経験も、共感力を育てる大切な時間です。
根っこにあるレジリエンス|失敗しても、もう一回
次男のアイデアで生地を冷蔵庫で冷やしてから、もう一度型抜きに挑戦。すると今度はきれいに抜けて、次男も三男もドヤ顔を披露してくれました。
一度うまくいかなくても、やり方を変えてもう一回やってみる。「まあいっか、もう一回やってみよう」と立ち上がる力は、こうした小さな失敗と再挑戦の積み重ねから育っていくのだと思います。
お手伝いで大切にしたい親の関わり方
子どもと一緒にキッチンに立つと、親としては正直、ハラハラすることの連続です。
床にお砂糖をこぼしたり、粉が飛び散って服が真っ白になったり、手際が悪くて時間がかかったり……。つい「あー!もうママがやるから貸して!」と言いたくなってしまいますよね。
でも、そこをグッとこらえて「見守る」ことが、親から子どもへの大きなプレゼントになると思います。
完璧できれいなクッキーを作ることが目的ではありません。子どもが「自分でできた!」という感覚を味わうことが目的です。
汚れたら、あとで一緒に雑巾で拭けば大丈夫。「お砂糖量ってくれてありがとう、助かったよ」「片付けまで一緒にできたね」と、結果だけでなく、挑戦したことや手伝ってくれた気持ちをたくさん認めてあげてくださいね。
キッチンのお手伝いで気をつけたいこと
楽しいお手伝いの時間にするために、安全面も少しだけ意識しておくと安心です。
- オーブンやレンジの出し入れなど、熱いものは大人が担当する
- 卵や小麦粉が生のままの生地は、つまみ食いしないようにする
- お友だちに配るときは、卵・小麦・乳などのアレルギーに気をつける
家事は子どもが成長するチャンス
今回はクッキー作りを紹介しましたが、日々の家事やお手伝いにも、子どもが成長するチャンスはたくさんあります。たとえば、お皿を並べるときに家族の人数を数えるのも、立派な算数です。
仕事から帰ってきてバタバタしている毎日のなかで、子どものお手伝いにいちいち付き合うのは、本当にエネルギーがいることです。毎日じゃなくて、全然いいんです。
時間と心にほんの少しだけゆとりがある日に、「ちょっとこれ手伝ってくれる?」と巻き込んでみる。それだけで、家庭の中が学びの場に変わります。
まとめ:子どもの学びは、机の上だけにあるわけじゃない
今回、三兄弟とのクッキー作りを通して、私が改めて感じたことがあります。それは、子どもの大切な学びや生きる力は、机の上だけにあるわけじゃない、ということです。
ネットやAIが進化して、どんな知識でも一瞬で手に入る時代だからこそ、自分の手を動かし、失敗して、工夫して、五感を使ってやり遂げる「リアルな体験」は、子どもの未来を支える大切な土台になると私は思っています。
しかも、難しい準備や高額な教材は必要ありません。お手伝いに誘って「ありがとう」と伝えたり、挑戦したことを認めてあげたりするだけで、「自分にもできる」という気持ちが少しずつ育っていきます。
さらに、小さいうちからお手伝いに慣れていくと、子どもが大きくなるにつれて家事を分担できるようになり、ママの負担も少しずつ軽くなっていく。まさに一石二鳥です。
- 自分たちでレシピを見て、買い物リストをメモすること
- キッチンスケールを見ながら、分量をぴったりに合わせること
- うまくいかないとき、「どうしたらいいと思う?」と一緒に考えること
- 冷やした生地で、もう一度型抜きに挑戦すること
- 家族からの「おいしい!」の一言に、胸を張って笑顔になること
- 手伝ってくれた子どもに、「助かったよ、ありがとう」と伝えること
そんな日常のワンシーンのすべてが、子どもの5つの力を育てる立派な学びの時間です。
次の雨の日や週末は、おうちのキッチンを小さな実験室にして、子どもと一緒にクッキー作りから始めてみませんか?
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AI時代に本当に育てたい子どもの5つの力については、こちらの記事でさらに詳しく紹介しています。

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